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図書カードに名前を書くのが時間がかかり貸し出しを諦める子供も多かった。
 

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以前のシステムでは低学年の生徒の貸し出しが難しかった。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空の旅ドットコム

サンフランシスコ日本語補習校のシステム化の取り組み
(気球船への寄稿文)

2006年5月 

一般企業という利益を追求する組織においては、投資とその回収がどの様に得られたのかを比較検討しながら企業活動を行います。教育の場において、特にNPOである補習校でも同じように子供の将来の為に教育という投資を行いますが、残念ながら転出後あるいは卒業後は帰国したり他の地域に行ってしまい、教育の成果がどれだけ得れたのかをうかがい知ることはできません。海外にある補習校では必ずしも最善の環境が整っているは限らず、財政的にも苦しい中どのようにお金を使って教育環境充実に役立てるかというところの判断が大変難しくなってきます。今ここで資金を使えば、将来十数年に渡って教育環境が充実するならば思い切って出来るだけのお金をつぎ込みたいところですが、多くの補習校での組織がそうであるように1,2年で交代する理事会や、長くて3年で交代する派遣教員で運営される環境でなかなか長期的な活動が難しくなります。企業では当たり前の様に導入されているITによるシステム化などは長期的視野を持たない限り構築は難しく、単年度で開発会社に委託して簡単に出来上がるものではありません。補習校業務において何が必要で、どう効率化できるのかということを理解しながら、ある程度時間をかけて築き上げる必要があり、子供への教育と同じ様な長期的投資的観点から検討すべきと考えます。

サンフランシスコ日本語補習校はシリコンバレーの南からサンフランシスコ市の北にかけ広い範囲の地域の家庭の子供たちが学校に通っています。土地柄生徒の親にはIT関連の仕事に従事している人が多くいます。そこで我々ボランティアの有志が集まり、IT化が補習校においてかなり立ち遅れている現状をどうにかしようと少しずつシステム化への取り組みを始めました。システムの構築の考え方としては少しずつ確実に成果の出るシステム作りを目指し、しかも将来像を見据えて開発途中で破綻しないシステムを作り上げる様努力してきました。最初は予算も確保していなかったので出来るところからということで図書の貸し出し管理システムをパソコンベースで作り上げました。システムの検討は2001年の秋に開始し、約半年かけてボランティアでのソフト開発を行い、2002年の秋から試験運用を始め、2003年の4月から本格運用を始めました。本にはすべてバーコードを貼り、生徒にはそれぞれ図書貸し出し用ID番号を作りそれをバーコード化しました。それ以来20回以上のソフトウェアの改善を行い最近では大変使いやすいシステムになってきました。

以前は手書きの図書貸し出しカードを使い管理を行っていたのですが、このシステムを導入したことによりより多くの子供たちが本を借り、本を読む機会が増えました。また本の紛失なども減り、財政的にも大きな効果が出ました。導入以来目に見える効果としては次の通りです。

 

1.        10分間の休み時間に集中して本の貸し出しを行う為、以前は小学校低学年の生徒は自分で名前や貸出日を図書カードを書くことが難しかった。休み終了のベルが鳴り、本を借りることを諦めてしまう子供が多かった。現在はバーコードを使って一人10秒程度で貸し出しが完了でき低学年生徒の貸し出しが増えた。

2.        返却処理が大幅に楽になったためボランティアの図書委員の保護者の方の負担が減った。

3.        貸し出し状況が常に把握でき、貸し出し期限が過ぎている人に対して簡単に督促状を発行することができるようになった。

4.        紛失した本の把握が出来るようになった。以前は年度末の棚卸で始めて紛失図書が判ったのが、今では常にそれが把握できるようになった。

5.        人気図書のランキングが判るようになった為、新規図書購入の為に役立っている。

6.        クラス毎の貸し出し数が毎回印刷できるので、担任の先生に参考資料として提出することができる。そして各クラス担任の先生は必要に応じて本を借りる様生徒に指導することができる様になった。

7.        図書の検索を本のタイトルまたは作者などで行えるようになった。また特定の本が現在貸し出し中で、いつ返却予定かも判る。

 

貸し出し冊数もシステムによる効率化により少しづつ増え2003年度は一日の総貸し出し数が平均200冊位だったのが2005年度は300冊を超える様になりました。

導入によって大きなメリットがあったとはいえ、毎年変わる図書委員の方々が年度始めにパソコンの操作を覚えるのに抵抗があるのも事実です。実際はそんなに難しくなくとも慣れない人にとっては精神的にも負担がかかります。そんな状況の中、システムの指導のためのサポートは以前にはなかった負担になりました。また操作ミスによる間違った督促状の送付などシステムに頼りきったが故に起こる混乱もあります。それらの事を理解しながら今後、上手にシステム運用を進めてゆきたいと思います。システムの概要、導入までの経緯に関してはwww.soranotai.com/sfjlcでご覧ください。

 

図書管理システムの運用を始め、最初に気が付いたことは学校内に幾つもの生徒の名簿が存在するということです。事務局で管理しているもの、保護者会で持っているものそして図書システムのデータベースとして使っているものがあり、それぞれ微妙に内容が異なっていました。もっとも大切な名簿は事務局が管理している授業料の銀行引き落としを行うための元データです。これが間違っていると大変なので、事務局ではいつも何度も確認をしながら手作業で引き落とし用のデータを作りそれを銀行に送っていました。これらの生徒および保護者会員のデータを一元化し、必要な人に必要な情報を配れるシステムを作りたいとの要望から我らボランティアを結成し検討を始めました。その後そのボランティアグループを理事会が任命する推進委員会として責任のある組織にしました。

推進委員会が提案したものは、Webベースでアクセスできるデータベースシステムの構築でした。システム設計を行い、仕様書作りそして決められた予算でシステム開発会社に開発を委託しました。そこで問題になったのは人によって異なるニーズから本当に必要な機能は何なのかを見つけ出すことでした。我々推進委員会は地道な調査を行い必要な機能を絞り、それを関係者に対して時間を掛けて機能の説明をおこないました。次に問題になったのが情報漏洩などのセキュリティーの問題です。幾度も見直しを行い最終的に具体的な方法を確立したころにはすでに計画を始めてから一年以上が過ぎてしまい、開発会社へ支払う金額も当初の試算から越えるようになりました。そこで二年目は外部の開発会社に発注するものを最低限にし、ソフトウェアの開発は推進委員の人たちのボランティアで行うようにしました。色々苦労はありましたが、計画を始めてから2年後の2006年4月からシステム稼働開始を行うことができました。

このシステムの導入効果は次の通りです。

 

1.授業料銀行引き落としのためのデータを家庭ごとに自動で計算し、そのまま情報を銀行へ送れる様になった。事務局での残業が減った。

2.連絡先や緊急連絡先など各保護者が自分で好きなときに編集することができ、学校側はより正確な情報を確保することができた。

3.事務局、教員、保護者会役員、図書委員、クラス委員がそれぞれが必要な情報だけにアクセスできるようになったので情報の配布が楽になったと共に必要以上の情報を配る心配がなくなった。

4.メールの同報送信により、情報の伝達が楽になった。

5.転出や編入の情報を手作業で作成せず自動に配布することができるようになった。

 

今後は図書管理システムとデータベースシステムと連動し、Webにおいての本の検索や貸し出し状況などが把握できるようにしたいと考えています。システムを作ると必ず改善点が見つかりそれを一つづつ改善することにより少しづつではありますが理想のシステムに近づいてきます。まだまだやらなければならない事が沢山ありますが、継続は力と考え良いシステムに作り上げて行きたいと思います。

 

最後にこのシステムの殆どはボランティアの人たちで作り上げましたので、このソフトを広く多くの人に使ってもらいたいと考えました。よってソフトの著作権はサンフランシスコ日本語補習校にありますが、これをオープンソースとし誰でも使用してもかなわないソフトウェアと位置づけました。全世界に多くの補習校が存在します。これを多くの学校で使ってもらえることを望んでいます。

(システムの開発経緯及び内容に関してはwww.soranotabi.com/sfjlcをご覧ください。またサンフランシスコ日本語補習校の当システムの推進委員会への問い合わせはsupport@sfjlc.comまでメールでお知らせください。

 

 

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